この記事のポイント
- 2010年代前半のグリズリーズを象徴する言葉
- 意味は“ガッツと泥臭さ”。守備とフィジカルで勝つスタイル
- コンリー、トニー・アレン、Z・ボー、マーク・ガソルが中心
- 2013年には西カンファレンス・ファイナルへ到達
数字で見るグリット・アンド・グラインド
スタイルを体現したコア
2011年、第8シードが第1シードを撃破
球団史上初の西カンファレンス・ファイナル
“グリット・アンド・グラインド”ってどういう意味?
グリット・アンド・グラインド(Grit and Grind)は、直訳すれば“ガッツと、すり潰すような粘り”だ。きっかけは、守備の名手トニー・アレンが試合後に放った「オール・ハート、グリット・グラインド」という言葉だとされる。
派手なオフェンスでなく、ハードな守備とフィジカルなぶつかり合いで相手を削っていく。試合のペースを落とし、ロースコアの泥仕合に持ち込んで勝つ。それが当時のメンフィス・グリズリーズのアイデンティティになった。
個性的なコアが体現したスタイル
このスタイルを担ったのが、4人のコアだ。司令塔のマイク・コンリー、“ファースト・チーム・オールディフェンス、ラスト・チーム・オールオフェンス”と自称した守備鬼トニー・アレン、ポストで体を張って点とリバウンドを稼ぐザック・ランドルフ(Z・ボー)、そして守備と頭脳でチームを支えたマーク・ガソル。
華やかなスター軍団ではない。だが全員が役割に徹し、相手のエースにも体ごとぶつかっていく。スパーズやサンダーのような強豪を相手に、何度も苦しめた。2013年には球団史上初の西カンファレンス・ファイナルにも到達している。
4人のコア
優勝しなくても語り継がれる理由
グリズリーズはこの時代に優勝はできなかった。それでも“グリット・アンド・グラインド”が今も愛されるのは、勝ち方そのものが街の気質と重なっていたからだ。労働者の街メンフィスの泥臭さ、粘り強さが、そのままチームのプレーに出ていた。
数字や栄冠だけがバスケの価値ではない。最後まで諦めず、体を張り、相手を苦しめ続ける。タイトルがなくてもファンの記憶に残るチームがあることを示した好例が、このグリズリーズだった。
2011年の大番狂わせ
グリット・アンド・グラインドの名を一気に広めたのが、2011年のプレーオフ1回戦だ。西の第8シードだったグリズリーズは、第1シードのスパーズを4勝2敗で破った。第8シードが第1シードを倒すのは、NBA史上でも数えるほどしか起きていない番狂わせだった。
ランドルフがポストで得点を重ね、ガソルが守備の要として立ちはだかり、アレンが相手のエースを追い回す。スター不在でも、役割を徹底すれば頂点のチームに勝てることを、メンフィスはこのシリーズで示した。
街の記憶として残るチーム
2013年には西カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだが、スパーズに4連敗して頂点には届かなかった。その後、主力の移籍や引退とともに、この時代は少しずつ幕を下ろしていく。
それでもメンフィスの人々にとって、この時代のチームは特別な存在だ。ザック・ランドルフの背番号50をはじめ、コアメンバーの背番号は永久欠番として讃えられている。優勝がなくても、街と一体になったチームは歴史に残る。
