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スペインピック&ロールとは?3人目のスクリーンで守備を崩す形をコート図で解説

ー ゴールへ走るビッグマンを守る選手に、背中から“もう1枚”のスクリーンをかける ー

「スペインピック&ロール」は、普通のピック&ロールに3人目の選手が加わる攻撃だ。ビッグマンがゴールへ走り込むとき、それを守る選手の背中に、シューターがもう1枚スクリーンをかける。ロールするビッグマンを止めるか、外のシューターを守るか。守備は1つの攻撃で2つの選択を迫られる。スペインのバスケットボールで広まったこの形を、コート図で解説する。

この記事のポイント

  • スペインピック&ロールは、普通のピック&ロールに**3人目のスクリーン**を足した攻撃
  • 3人目(多くはシューター)は、**ビッグマンを守るX5の背中**にスクリーンをかける
  • X5が動けなくなり、**ゴールへ走るビッグマンへの道**が大きく空く
  • ほかの守備者が助けに行けば、今度は**スクリーンをかけたシューターが外でフリー**になる
  • ビッグマンが下がって守る**ドロップ**に対して、特に効果が大きい

スペインピック&ロールとは:3人目がスクリーンを足す

ピック&ロールの守り方で見たように、普通のピック&ロールは、ボールを持つガードとスクリーンをかけるビッグマンの2人で作る攻撃だ。守る側も、ガードを守るX1と、ビッグマンを守るX5の2人で対応する。

スペインピック&ロールでは、そこに3人目が加わる。ビッグマンがガードにスクリーンをかけたあとゴールへ走り込むとき、3人目の選手(多くはシューター)が、ビッグマンを守るX5の背中側にスクリーンをかける。ゴールから離れる向きにかける“背中への”スクリーンなので、バックスクリーンと呼ばれる。

スペイン代表やスペインのリーグで多く使われていたことから、この名前で呼ばれるようになったと言われる。ヨーロッパで広まったあと、2010年代の後半からはNBAでも多くのチームが取り入れている。

スペインピック&ロールの流れ

ゴールを上にしたハーフコート。1=ボールを運ぶガード、5=スクリーンをかけるビッグマン、2=3人目のシューター
① 2枚のスクリーン
X1X5X2X4X315243

5がX1にスクリーンをかけるのは普通のピック&ロールと同じ。同時に、フリースローライン付近にいた2が上がってきて、X5の背中にスクリーンをかける(バックスクリーン)。

② 5がゴールへ走る
X1X5X2X4X315243

1がスクリーンを使って右へ動き、5はゴールへ走り込む。5を追いたいX5は、背中にいる2のスクリーンに引っかかって動けない。ゴールへの道が大きく空く。

③ 2が外へ開く
X1X5X2X4X315243

5へのパスを止めるために、X2が2を離れてゴール下へ助けに行くと、今度は2がフリーになる。2はスクリーンのあと外へ開き(ポップ)、1からのパスで3ポイントを打つ。

○ 攻撃(数字はポジション)× 守備 ボール実線=動き/点線=パス/横棒=スクリーン

X5が動けなくなる:ゴールへの道が空く

スペインピック&ロールの1つ目のねらいは、ロールするビッグマンを自由にすることだ。普通のピック&ロールなら、ゴールへ走るビッグマンはX5が追いかける。ところが、そのX5の背中には3人目がスクリーンをかけている。X5はスクリーンに引っかかり、ビッグマンについていけない。

図の②では、1がスクリーンを使って左へ動き、5がゴールへ走り込んでいる。X1は1を追い、X5は2のスクリーンに止められている。5の前には誰もいない。1から5へパスが通れば、ゴール下でダンクやレイアップになる。

特に苦しいのが、ビッグマンがゴール近くまで下がって待つドロップで守るチームだ。下がろうとしたX5の背中に、ちょうどスクリーンが来る形になる。スペインピック&ロールは、ドロップを崩すための攻撃として使われることが多い。

助けに行けば、外のシューターが空く

ゴールへ走る5を止めるには、ほかの守備者が助けに行くしかない。いちばん近いのは、スクリーンをかけた2を守っていたX2だ。ところが、X2がゴール下へ助けに行くと、今度は2を守る人がいなくなる。

そこで2は、スクリーンをかけたあと、すぐに外の3ポイントラインへ開く(ポップ)。図の③のように、1から2へパスが出れば、2はフリーで3ポイントを打てる。3人目にシュートのうまい選手を使うのは、このためだ。

つまり守る側は、ゴール下の5を止めるか、外の2を守るかという選択を迫られる。どちらを選んでも、もう片方が空く。2人で作るピック&ロールの“読み合い”に、もう1人分の選択肢を足したのがスペインピック&ロールだ。

守る側の対策と、攻める側の条件

守る側の対策としてよく使われるのが、スイッチだ。2のスクリーンがかかった瞬間に、X2とX5がマークを入れ替える。X2がゴールへ走る5につき、X5が外の2につく。ズレは防げるが、背の低いX2がビッグマンの5を守る“ミスマッチ”が生まれる。

攻める側には条件がある。3人目は、スクリーンをかけたあと外で3ポイントを決められなければならない。ビッグマンには、ゴールへ走り込む速さと、ボールを受けてからのフィニッシュの確かさが必要だ。そしてガードには、ゴール下の5と外の2のどちらが空いたかを、一瞬で見分けてパスを出す判断力が求められる。

3人の動きがかみ合わなければ、ただ選手が密集するだけになってしまう。そのぶん、決まったときの効果は大きい。ガード、ビッグマン、シューターの3人がそろったチームの“武器”になる攻撃だ。

普通のピック&ロールとのちがい

ピック&ロール
スペインピック&ロール
関わる人数
2人(ガードとビッグマン)
3人(ガード、ビッグマン、シューター)
スクリーンの数
1枚
2枚(ガードの守備者と、ビッグマンの守備者に1枚ずつ)
ロールを止めるのは
X5(ビッグマンの守備者)
X5は止められず、ほかの守備者が助けに行くしかない
特に苦しくなる守り方
(守り方による)
ドロップ。下がったX5の背中にスクリーンが来る

観戦のコツ:スクリーンのあと“3人目”を探す

スペインピック&ロールを見つけるコツは、ピック&ロールが始まったときに、フリースローライン付近から上がってくる3人目がいるかを見ることだ。その選手がX5の背中に立てば、スペインピック&ロールになる。

そのあとは、ゴールへ走るビッグマンに誰が助けに行くかを見よう。助けに行った選手が守っていたのは誰か。その選手が外でフリーになっていれば、攻撃側のねらいどおりだ。

ピック&ロールの基本は「ピック&ロールの守り方」で解説している。ほかの戦術解説は戦術解説の一覧から読める。

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