名GM、HCHC / セルティックス

ジョー・マズーラはなぜ最優秀HCに選ばれたのか|テイタム不在で56勝

ー 37歳の名将の“型”の強さと、セルティックスが下した大きな決断 ー

2025-26シーズンの最優秀HC(コーチ・オブ・ザ・イヤー)は、セルティックスのジョー・マズーラだった。エースのジェイソン・テイタムをほぼ1年欠き、優勝メンバーの主力も次々と去ったなかで56勝。37歳の若い名将は何がすごいのか。受賞のあとに球団が下した大きな決断まで含めて読み解く。

この記事のポイント

  • 2025-26に**56勝26敗・東2位**。テイタムはアキレス腱のけがで16試合の出場
  • ホリデー、ポルジンギス、ホーフォードが去っても、戦い方の“型”は崩れなかった
  • 37歳での受賞は**1975年以来の最年少**。セルティックスでは1980年以来
  • 2024年には35歳で優勝。通算勝率は.726
  • 受賞後、球団は**マズーラを続投させ、ジェイレン・ブラウンを76ersへ**トレードした

数字で見るマズーラ

56-26

2025-26の成績。テイタムは16試合の出場

37歳

1975年以来の最年少での最優秀HC

.726

通算勝率(238勝90敗)

4季連続

50勝以上のシーズン

“戦力ダウン”のはずのチームで56勝

2025-26シーズンが始まる前、セルティックスを優勝候補に挙げる声は少なかった。エースのジェイソン・テイタムは、2025年5月のプレーオフでアキレス腱を断裂。さらにオフには、2024年の優勝を支えたジュルー・ホリデーとクリスタプス・ポルジンギスがトレードで、アル・ホーフォードがFAでチームを去った。

ところがセルティックスは、テイタムが16試合しか出られなかったシーズンで56勝26敗、東2位の成績を残した。ジェイレン・ブラウンは平均28.7点、6.9リバウンド、5.1アシストといずれもキャリア最高を記録し、残った選手たちが役割を広げてチームを支えた。

最優秀HCの投票では、1位票100票のうち62票を集めて受賞。ピストンズのJ.B.ビッカースタッフ、スパーズのミッチ・ジョンソンを抑えた。37歳での受賞は1974-75シーズンのフィル・ジョンソン以来の最年少で、セルティックスのHCとしては1979-80のビル・フィッチ以来になる。

34歳で突然の就任、2年目で優勝

マズーラのHCとしての出発は、予想外の形だった。2022年9月、当時のイーメ・ユドカHCがチームの規則違反で職務停止となり、アシスタントだったマズーラが34歳で暫定HCを任された。NBAのHC経験はゼロ。大学時代はウエストバージニア大学のガードで、指導者としても下部リーグや大学の小さなチームから這い上がってきた人物だ。

それでも1年目に57勝を挙げると、2年目の2023-24には64勝。プレーオフも勝ち抜き、35歳でNBA優勝を果たした。以来4シーズン続けて50勝以上。通算の勝率は.726(238勝90敗)で、歴代のHCと比べても非常に高い。

マズーラ体制のセルティックスの勝利数

レギュラーシーズンの勝利数(82試合)。2023-24は優勝
2022-23
57勝
2023-24(優勝)
64勝
2024-25
61勝
2025-26
56勝

強さの理由は、選手が替わっても崩れない“型”

マズーラのチームの特徴は、戦い方の“型”がはっきりしていることだ。コートに立つ5人全員が外から打てる形を好み、優勝したころから3ポイントの試投数はリーグでも最上位クラスが続く。守備では相手と向き合う1対1の強さを重視し、無理なヘルプで陣形を崩さない。

この型の強みは、選手が入れ替わっても同じやり方で戦えることだ。テイタムやホリデーがいなくなっても、残った選手はそれぞれの“役割”を引き継げばいい。2025-26の56勝は、特定のスターに頼らない仕組みが機能した結果と言える。

一方で、型がはっきりしているぶん、相手にとっては対策も立てやすい。3ポイントが入らない夜は脆さも見える。このバランスこそ、マズーラが評価と批判の両方を受け続けてきた理由でもある。

受賞直後の早期敗退と、球団が下した決断

最優秀HCに選ばれたものの、2026年のプレーオフでは1回戦で76ersに敗れた。マズーラ体制で初めての1回戦負けだった。

そして7月6日、セルティックスはジェイレン・ブラウンを76ersへトレードし、ポール・ジョージと2本の1巡目指名権、2本の2巡目指名権を受け取った。キャリア最高のシーズンを送ったばかりのスターを出し、HCは続投させる。“スターよりもHCと仕組みを選んだ”とも言える、思い切った決断だった。

2026-27のセルティックスは、けがから戻るテイタム、新しく加わったジョージ、デリック・ホワイトを軸に戦う。マズーラの“型”が、また違う顔ぶれで同じように機能するのか。今季のセルティックスは、HCの力量が最もはっきり試されるチームの一つになる。各チームの顔ぶれは「30チームの注目ポイントまとめ」、年俸はセルティックスの年俸一覧で確認できる。過去の名将については「NBA名将・名GM列伝」も読んでほしい。

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